水中ドローンとは?
ABOUT UNDERWATER DRONE
水中ドローンとは
水中ドローンとは、潜航が可能な有線式の小型無人潜水機の通称です。
操縦者は船上や陸上から遠隔操作により機体の操縦を行い、リアルタイムの水中映像を見ることができます。
水中ドローンの市場規模と可能性
2025年国内販売市場規模は、約62億円へ
水中ドローンの国内販売市場規模は2020年から、年間平均+22%で成長し、2025年に62億円へ急成長することが見込まれています。これは水中ドローン本体や拡張する製品の販売見込みとなり、水中ドローンを活用した社会での利活用市場は更に拡大する事は明白です。また、日本は海に囲まれた海洋国家であり水産業のみならず海に面した水中構造物やインフラの点検、海運業界、海洋土木の分野でも利活用が増加している。
海だけではなく内陸部でもダムの構造物、河川や水域に配置されている管理設備などでも活用が進んでおり今後も水中点検には水中ドローンの活用が注目され広がっています。
更には、内閣府の『AUV戦略』、水産庁による『スマート化推進支援』、国交省の『海の次世代モビリティ』など、国による施策も水中ドローンユーザーにとって追い風である。
※いずれも、2020年以降は予想値
市場規模成長の背景
急速に認知度が向上している水中ドローン。その活用が増え、課題の克服に向けた運用技術や知識の進歩も著しく、幅広い水中産業への実装が加速しています。
水中ドローンにできること
◆機体にはフライトコントローラー、ジャイロコンパス、圧力センサー(水圧・深度計測)、推進器(スラスター)を搭載し、機体の制御が可能です。
◆カメラ・LEDライトを搭載し、水中の映像を受信することが可能です。
◆深度、方位、自己機体の傾きなど、機体情報をリアルタイムに確認することが可能です。
◆オプション機器拡張をすることで、幅広い用途での活用が期待されます。
一例
ロボットアーム | 水中の物体を掴む・拾う。 |
イメージングソナー | 障害物や構造物に音波を当てることで物体の確認ができ、濁度の高い水中で の作業を可能にする。 |
レーザースケーラー | 対象物にレーザーを当てることで、物体のサイズを確認することを可能にする。 |
ドップラー対地速度計(DVL) | 海底や水中に音波を当て、対流速度を計測し、安定したホバリングを可能にする。 |
など、近年、飛躍的な性能向上を遂げ、日々、その可能性を広げている。
水中ドローンへの期待
水中ドローンの活用は、人の入れないような狭小箇所や水深40mを超える水中、濁りや流れの強い水中での点検や作業において、安全性の向上や省力化、コスト削減など大きな期待を受けています。
日本国内においては、港湾や河川の護岸の点検、プラントの水設備点検等にも導入が進んでいます。また、今後洋上風力発電建設に水中ドローンは必要不可欠とされており、海洋建設の場面への導入も期待されています。
洋上風力発電以外にも「スマート漁業」「スマート養殖」といった水産一次産業でも、国の後押しによる産業実装が広がっています。
水中ドローン活用事例
項目 | 水中ドローンの活用が期待される具体的なシーン |
---|---|
土木建築 | 港湾施設、漁港、洋上風力発電、海中ケーブルなど水中構造物建設に関する現場確認等 |
インフラ設備点検 | 港湾施設、漁港、護岸、防波堤、波除堤、テトラポット、 船舶、 ブイ、河川、ダム、橋梁、砂防、湖沼、貯水槽、工場.プラント、発電所、工業用水管路、下水道管路、電力取水管送水管等 |
水産業 | 魚介類の生育調査、水中網や水族館の点検・清掃、 魚群探査、 漁礁の調査、海底生物採取、水質・環境調査等 |
エンターテイメント・娯楽 | メディアや報道での水中映像撮影、水族館などレジャー施設での水中映像撮影、ダイビング、レジャー、釣り堀などの管理等 |
救助・安全管理 | 海水浴場・河川水辺における水難救助・捜索、 台風や大雨による水害時の現場確認および水難救助・捜索、海難救助・捜索、沈没船捜索および状況確認、潜水士安全対策、水中作業現場の状況確認等 |
学術調査・研究 | 水中の環境観測、水質 環境調査、生態調査、地質学調査、海底地形図調査、考古学調査、沈没船調査、海底生物採取等 |
潜水作業士の声
潜水作業を行う前の現場下見・事前調査のための潜水が必要なくなったので、体力的な負担も軽減され、作業効率も向上した。また作業監視役として、水中作業の様子をリアルタイムで地上で確認してもらうなど、水中作業の安全性の確保に役立っている。
養殖業者の声
毎日、魚の生育具合や死骸の除去など、確認のために職員が潜水していた。水中ドローンで海中の状況を把握できるので、不要な潜水が無くなった。台風や時化などによる網の損傷具合を確認したり、補修箇所も共有できるので、効率的かつ省力化が図れる。
土木関係者の声
ダムでは、これまで、濁りが強く、安全性の観点から、確認が困難だった点検調査を実施することができた。小型水中ドローンであれば、運搬も人間の手で比較的楽にできるので、定期的な自主点検もできて助かっている
水難救助捜索者の声
水難救助・捜索の際、現場に到着しても、総合的な安全確認、潜水作戦を共有してからでないと、隊員の個人判断で潜水開始することはできない。そのため、水中ドローンを先行捜索として活用し、一秒でも早い救助と隊員の危険性の軽減もできている。