水中ドローンとは?

ABOUT UNDERWATER DRONE

水中ドローンとは

水中ドローンとは、潜航が可能な有線式の小型無人潜水機の通称です。
操縦者は船上や陸上から遠隔操作により機体の操縦を行い、リアルタイムの水中映像を見ることができます。

水中ドローンの市場規模と可能性

2027年国内市場規模は、約610億円へ

水中ドローンの世界市場規模は2020年から、年間平均+11.7%で成長し、2027年に約9600億円へ、国内市場規模はそれを上回る+12.9%の成長率で約610億円へと急成長することが見込まれています。
国内市場では、水中ドローンの防衛・安全関連利用に次いで、商業利用が大きな比重を占め、海洋土木・インフラ・水中構造物・船舶点検、水難救助、水産業、プラント等の分野において大きな注目と期待を集めており、実装が確実に広がっています。

※いずれも、2020年以降は予想値
Allied Market Reserch社

市場規模成長の背景

急速に認知度が向上している水中ドローン。その活用が増え、課題の克服に向けた運用技術や知識の進歩も著しく、幅広い水中産業への実装が加速しています。

水中ドローンにできること

◆機体にはフライトコントローラー、ジャイロコンパス、圧力センサー(水圧・深度計測)、推進器(スラスター)を搭載し、機体の制御が可能です。
◆カメラ・LEDライトを搭載し、水中の映像を受信することが可能です。
◆深度、方位、自己機体の傾きなど、機体情報をリアルタイムに確認することが可能です。
◆オプション機器拡張をすることで、幅広い用途での活用が期待されます。

一例

ロボットアーム水中の物体を掴む・拾う。
イメージングソナー障害物や構造物に音波を当てることで物体の確認ができ、濁度の高い水中で
の作業を可能にする。
レーザースケーラー対象物にレーザーを当てることで、物体のサイズを確認することを可能にする。
ドップラー対地速度計(DVL)海底や水中に音波を当て、対流速度を計測し、安定したホバリングを可能にする。

など、近年、飛躍的な性能向上を遂げ、日々、その可能性を広げている。

水中ドローンへの期待

水中ドローンの活用は、人の入れないような狭小箇所や水深40mを超える水中、濁りや流れの強い水中での点検や作業において、安全性の向上や省力化、コスト削減など大きな期待を受けています。
日本国内においては、港湾や河川の護岸の点検、プラントの水設備点検等にも導入が進んでいます。また、今後洋上風力発電建設に水中ドローンは必要不可欠とされており、海洋建設の場面への導入も期待されています。
洋上風力発電以外にも「スマート漁業」「スマート養殖」といった水産一次産業でも、国の後押しによる産業実装が広がっています。

水中ドローン活用事例

項目水中ドローンの活用が期待される具体的なシーン
土木建築港湾施設、漁港、洋上風力発電、海中ケーブルなど水中構造物建設に関する現場確認等
インフラ設備点検港湾施設、漁港、護岸、防波堤、波除堤、テトラポット、 船舶、 ブイ、河川、ダム、橋梁、砂防、湖沼、貯水槽、工場.プラント、発電所、工業用水管路、下水道管路、電力取水管送水管等
水産業魚介類の生育調査、水中網や水族館の点検・清掃、 魚群探査、 漁礁の調査、海底生物採取、水質・環境調査等
エンターテイメント・娯楽メディアや報道での水中映像撮影、水族館などレジャー施設での水中映像撮影、ダイビング、レジャー、釣り堀などの管理等
救助・安全管理海水浴場・河川水辺における水難救助・捜索、 台風や大雨による水害時の現場確認および水難救助・捜索、海難救助・捜索、沈没船捜索および状況確認、潜水士安全対策、水中作業現場の状況確認等
学術調査・研究水中の環境観測、水質 環境調査、生態調査、地質学調査、海底地形図調査、考古学調査、沈没船調査、海底生物採取等
※インプレス社発行の水中ドローンビジネス調査報告書2021より

潜水作業士の声

潜水作業を行う前の現場下見・事前調査のための潜水が必要なくなったので、体力的な負担も軽減され、作業効率も向上した。また作業監視役として、水中作業の様子をリアルタイムで地上で確認してもらうなど、水中作業の安全性の確保に役立っている。

養殖業者の声

毎日、魚の生育具合や死骸の除去など、確認のために職員が潜水していた。水中ドローンで海中の状況を把握できるので、不要な潜水が無くなった。台風や時化などによる網の損傷具合を確認したり、補修箇所も共有できるので、効率的かつ省力化が図れる。

土木関係者の声

ダムでは、これまで、濁りが強く、安全性の観点から、確認が困難だった点検調査を実施することができた。小型水中ドローンであれば、運搬も人間の手で比較的楽にできるので、定期的な自主点検もできて助かっている

水難救助捜索者の声

水難救助・捜索の際、現場に到着しても、総合的な安全確認、潜水作戦を共有してからでないと、隊員の個人判断で潜水開始することはできない。そのため、水中ドローンを先行捜索として活用し、一秒でも早い救助と隊員の危険性の軽減もできている。