開催報告

一般社団法人日本水中ドローン協会と水中ドローンスクール広島校（運営 :株式会社ハニービーワークス）は、2023年9月2日(土）に海の豊かさを知っていただく事を目的として、広島県江田島長瀬海水浴場で小学生を対象に水中ドローンを使用して海を知っていただくイベント、水中ドローンで知る「私たちの海 in 広島」を開催いたしました。このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

主催者レポート

初めの座学ではご協力いただいたダイバー寺西さんに昔の広島の海と今の広島の海について実体験をもとにお話ししていただきました。なぜ、こんなに環境が変わったのかみんなが意識することで少しづつでも変わっていき広島の自分たちの海が豊かなものになっていくことを寺西さんの言葉で伝えて頂きました。子供たちも一生懸命に話を聞いており、保護者の方々も寺西さんのお話に真剣に聞いてくださっている様子でした。
そののち、講師河野より水中ドローンの操縦についてレクチャーを行いました。
操縦体験のブースに移動後3グループ分け操縦体験。お子さんに見やすいようにデバイスをアイパッドを使用し大きい画面で水中の映像を見て頂きました。3グループに分けてみることによって場所によっては映る生き物が異なったりごみが多くあったりきれいだったりと様々なお子さんの感想が出てきました。操縦体験もお子さんだけではなく一緒に来ていた保護の方も一緒になって楽しんでいただけている様子でした。
満潮ので海の透明度の高い時期をダイバー寺西さんの助言の元選んだ日程でしたが予測していたよりも満ちており操縦体験ブースから陸地へ移動する桟橋以上に海面が上がりました。操縦体験終了時移動するまでには潮が引き始め移動するのに大きな問題はありませんでした。
パネルを使用し、操縦体験後子供たちに感じたこと思った事など自由に書いてもらい発表を行いました。
いろいろな子供たちの感想が聞け楽しかったことだけではなくごみを捨てる時に気を付けたいやきれいな海を保ちたいといった自分たちの身近な海について考えてくれるきっかけになったんだと感じました。
引き続き水中ドローンを扱うものとしても子供たちと一緒に今後の海について考えていくきっかけを今後も行っていきたいと強く思いました。

開催経緯

今回のイベント開催にあたり、地元ダイバーの寺西さんご協力いただき場所を決めていきました。
江田島は広島の海の中でも多くの生き物がおり、地元の海としても身近に感じてもらえる場所だと思い選びました。
そこから開催候補場所を絞っていきました。
長瀬海水浴場は地元の子供たちが普段から遊びに行くような場所でさらに安全対策やお手洗いの場所、また無料駐車場と様々な観点から見ても開催場所として十分だと思い決定しました。
そこから一番身近に感じてもらえ参加がしやすい江田島市の小学校に通っている生徒の方へイベントの案内をするため、教育委員会に地元小学校の校長先生方へイベントについてご説明する場を設けて頂くことができました。
安全面を考慮したうえでも柵があり安易に浮島から転落しない場所で、操縦を行う上でも障害物がなくある程度の海底があったため子供たちでも十分操縦が出来海の様子が見てみることが出来る場所でした。
また、ダイバー寺西さんからしても昔の江田島の海と今の江田島の海すでに変化している様子を子供たちに伝えていきたいという思いで開催にあたり各方面への許可等も下りたためこちらの場所へ決定しました。

有識者コメント

このお話を受けたときには、何もないところから海を知ってもらうきっかけ作りのお手伝いができればと思い参加しました。
自身の海との関わりを振り返るきっかけと、経験を次の世代に伝えることくらいまでできて、参加していただいた方々がこれからの海と接するときに「いまの海が5年後10年後にはどのようにかわっているのか、また、変えずにいるためにはどうしたら良いのか」を考えることができればというスタンスでいました。
私は、小学生の頃から海岸に出て海辺の生き物を捕まえたり、釣りをしたり、成長するに連れて素潜りで魚などを観察していました。しかしながら素潜りには限界があるので、スクーバダイビングで身近な海を楽しむようになりました。

最初の認定をうけた20年以上前と今とでは瀬戸内海（広島湾）の生き物の様子が違っていて、見かける魚の量も種類も減り、水温の低下により冬眠していた魚も最近では冬場も泳いでいることを見かけるようになっています。

こういった生物の変化などをすべて記録に残すとなると毎日のようにダイビングをしていかなければなりませんが、今回利用させていただいた水中ドローンを使えば使用開始とともにすぐそばの海の中を知ることができます。

子どもたちが興味深く海中を除いている様子は海に関わりはじめた私の子どもの頃とかわりありませんでした。しかしながら海中はその頃とは変わっており、アマモは少なくなっており、そこに住んで大きな魚から身を守っているはずの小魚の数もまばらでした。

環境が変わることで生態系が変わってしまうことがあるのはわかっていますが、生き物が住みにくくなってしまった環境は回り回って人間に対しても牙を向けてくることになります。簡単に海中を観察することができる水中ドローンを使うことができるから触れることのできる環境の変化を今回をゼロ地点として記憶に残してほしいと思いました。

私にとっては数十年の経験のうちの一日ではありましたが、これからも海の幸を育む大切な海を残し始める一日になっているといいなと感じました。
参加した子どもたちから「思ったよりも海の中がきれいだった」という声が聞こえてきましたが、瀬戸内海（特に広島湾）はカキの養殖が盛んでその作業上発生する廃棄物が漂っていることがあります。

こういった廃棄物も観察してこれからの海を考えるきっかけ作りにまでは至りませんでしたが、同じ場所から継続して観察して四季の移り変わりとともに海の変化を記録して行くことのお手伝いと、ダイビングを交えて海との関わりを考えてみたくなる一日でした。
参加した子どもたちの中から数年後の説明者が出てくるのを期待しています。

（江田島　ダイバー　寺西様）

体験会参加者の声・水中ドローンで何ができる？

・魚がたくさんいて驚いた
・ふだん見ることのできない遠くの海の底を見ることが出来て楽しかった
・魚が思ったよりいなかった
・ヘドロが少なくきれいな砂がたくさんあって気持ちよかった
・海藻が細かった
・水中にはたくさん水草と魚がいた
・お魚が見つけれなかった
・思っていた海よりもごみが多くてびっくりした

当日のダイジェストムービー

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。